どんぐりと山猫

近作

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今日の一作 3月30日
おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。
「かねた一郎さま 九月十九日
あなたは、こきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいで
んなさい。とびどぐもたないでくなさい。
山ねこ 拝」
こんなのです。字はまるでへたで、墨もがさがさして指につくくらゐでした。
けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした。
(宮沢賢治『どんぐりと山猫』より)
サイズ 135cm×105cm
墨 油煙墨
筆 上下の群は羊毛長鋒。中の手紙部分は、わら筆
紙 単宣
山猫の手紙部分はへたに書きたかったのです。稚拙な線を出そうとしたので
わら筆を使ってみました。
しかし、へたに書くというのは、へんな意味じゃなくて、すごく難しいです。
技術が邪魔をするのです。
捨てきれないのです。
それでこんなのになっちゃいました。難しい。

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